日本総合悲劇協会Vol.6『業音』

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第9回 ゲスト:康本雅子





15年前と同様、『業音』の振り付けを担当するとともに、「踊り子」役として出演するダンサー&振付家の康本雅子。芝居と踊りと動きが不思議なバランスで混ざり合う今作の、ダンス創作秘話を探ります。

(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)





吐夢 康本さんが初めて本格的に振り付けをしたのが、15年前の『業音』なんですよね。
康本 そうです。初めて振り付けをしたのは、『マシーン日記』の再演(2001年)で、1曲だけ松尾さんにお願いされたんです。全編の振り付けは『業音』が初めてだから、本当に思い入れがありますね。
吐夢 初演を思い出しても、ダンスがかなりの比重を占めてた気がします。
康本 そういうふうに言われることも多いんですけど、実はそんなに多くないんですよ。『キレイ』や『キャバレー』みたいに、がっつりダンスをやるわけでもないですから。当時、お芝居にああいう形でダンスが混ざるのが珍しかったのかな。
吐夢 でも、康本さんが動くだけでダンスに見えたし、アートに見えてくる。
康本 ああ~。
吐夢 お芝居にダンスを入れるときって、たいていダンスシーンはダンサーさんが踊って、演技シーンは役者がやる。別々なんですよね。あと動きを振付師に全部丸投げする演出家もいるじゃないですか。でも、『業音』はそういうのとも違う。振り付けっぽくない振り付けもあるし。どうやって作っていったんですか?
康本 初演は、まず「オープニングはこの曲でみんなで踊る」っていうことだけしか決まってなかったですね。あとは稽古しながら、「ここをちょっと踊りにしようか」とか、松尾さんが「こんな感じ」って動いてみせたのを私が整えたりとか。松尾さんはダンスや動きに対してすごくこだわりがある方だから、いわゆる振り付けっぽくなっちゃうと、松尾さんの中で違うんだろうなあと思いながら作っていきました。
吐夢 皆川さんの土下座ダンスとかは?
康本 あれはお任せで(笑)。初演を振り返ると、「ここ松尾さんが勝手にやってます」「ここ皆川さんがいつもの感じでやってます」っていう個人プレーがいっぱいあったんで、私はそんなに振り付けしてないっていう感覚ですね。
吐夢 康本さんご自身の踊りはどこまで決まってるんですか?
康本 100パーセント。手首の角度まで振り付けてます。こないだも松尾さんに「ここ適当にやってんでしょ」って言われたんですけど、「いやいやいや、120パーセント振り付けてますから」って。


(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)