日本総合悲劇協会Vol.6『業音』

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第8回 ゲスト:エリザベス・マリー





『踊り子のダブルキャストとして参加するエリザベス・マリー。松尾スズキの演出作は、『キレイ』(再々演/2014年)『キャバレー』(再演/2016年)に続いて、『業音』が3作品目となる彼女に訊く、松尾流ミュージカルのアプローチについて。

(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)





吐夢 9歳からいろんなミュージカルの現場を経験してきたザベスから見て、『キレイ』とか『キャバレー』はどうでした?
マリー 『キレイ』はすごく特殊だなあと思いました。今まで観てきた・出てきたミュージカルは、エンタメとしてショーがあるんですけど、「物語の中で踊りが生まれる」みたいな考え方なのかな?と思って。『キレイ』の出演者ってダンスをやってる人じゃなかったじゃないですか。
吐夢 芸能人の人とか、僕らとかね。
マリー そうそう。「それでも、一緒に踊るんだぁ」みたいな。
吐夢 「よくアタシたちと踊れるわねぇ」って?(笑)。
マリー 違います!(笑)。普通のミュージカルは、アンサンブル(のダンサー)がうしろで頑張って、前の人(役者)はそんなに踊らないことが多いのに、垣根なく、みんな同じことをするんだなあと思って。だから、『キレイ』って、なんでミュージカルにしたんだろう?と思ったんです。歌とか踊りがなくても成立するお芝居なのになあって。
吐夢 『キレイ』は、もともと松尾さんがミュージカルをやろうと思って作った作品なんですよ。物語ありきじゃなくて、ミュージカルありき。
マリー ああ~。松尾さんの中で「俺が作りたいミュージカルはこれだ」っていう感じだったんですかね。
吐夢 ミュージカルは前からお好きだったみたいですけどね。でも、どっぷりとその世界を知ってるわけじゃないから、ミュージカルの自分の好きな部分と、自分が今までやってきたことが、ああいうバランスになったのかもしれない。わからないけど。
マリー でも『キャバレー』は、ザ・ミュージカル!って感じで、めちゃめちゃ踊ってました。『キレイ』と『キャバレー』では、アプローチの仕方が正反対ですね。
吐夢 初演の『キャバレー』はまだ松尾さん、今までの『キャバレー』像を崩す感じがあったんですよ。でも再演では、照れがなくなったんじゃないかと思うんですけど。
マリー なるほど。
吐夢 今回の『業音』はどうですか?
マリー 『業音』もすごく特殊だと思います。芝居中に、スッと効果的に踊りが入ってくるじゃないですか。「松尾さんはどうしてここで音を入れたかったのか」とか、まだ読み切れてないところがあって、探ってる部分ではあるんですけど。
        

(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)