日本総合悲劇協会Vol.6『業音』

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第5回 ゲスト:皆川猿時





今回の『業音』再演でも、15年前の初演と同じ役柄を演じる皆川猿時。「初演はとにかくつらかった」と語る伊勢志摩とは正反対の思い出として心に残っているようで……。

(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)





吐夢 初演の『業音』の話をお聞きしたいんですけど。女優さんたちからは「とにかくしんどかった」という証言ばかり聞くのね。でも伊勢さん曰く、「男子楽屋はそうでもなさそうだったぞ」と。
皆川 僕はまったく、しんどくはなかったですね。楽しかったです。最初は、(演出の)松尾さん以外に出てるのが、村杉くんと僕と内田滋で大丈夫なのか?って思いましたけどね。阿部(サダヲ)くんも宮藤(官九郎)さんもいないから。だからこそ、ちゃんとやらなきゃいけないっていうのもあったし、当時は松尾さんとあんまり喋ったことがなかったから、「松尾さんと喋んなきゃいけないのかぁ」って心配したり(笑)。
吐夢 はははは。
皆川 「誰が飲みに誘えばいいんだろう?ああ、内田くんがいるから大丈夫かな」って、余計な心配をしてましたねぇ。でも、実際に稽古や本番が始まってみると、松尾さんと普通に話がたくさんできたし、一番ストレスを感じない舞台だったんですよ。
吐夢 で阿部くんも宮藤さんもいなくて、単純に役の比重が大きくなったし、やりがいもあったんでしょうね。
皆川 それもありますし、その時期稽古時間が急に短くなったんですよ。今みたいに4時間ぐらいで終わっちゃう感じで。
吐夢 昔は13時から22時までとか平気でやってたもんね。途中、稽古場移動したり。
皆川 だから、すごいラクだった記憶があります。「痩せろ」って言われて2週間で10キロ痩せたから、それでちょっとハイになってたのかもしれないですけど。
吐夢 2週間で10キロ? すごいね!
皆川 朝と昼をマイクロダイエットっていうのにして、夜だけ何を食ってもいいって決めて。でも、そうすると意外と食わなくなるんですよね。
吐夢 ああ。そうかもねえ。稽古は楽しくてラクだったということだけど、本番前は、ウケる予感したの?
皆川 うーん、なんか、楽しい気分のまま本番に突入したような(笑)。お客さんが笑ってるから、これでいいんだろうなって思ってましたけど、本番やってもよくわからなくて。再演で改めて台本を読んで、こんな話だったんだあって思いました。とにかく、楽しかった記憶しかないですね。


(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)