日本総合悲劇協会Vol.6『業音』

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第7回 ゲスト:松尾スズキ





『業音』の作・演出を手がけ、堂本こういち役を演じる松尾スズキが登場! 松尾が語る「日本の演劇をちゃんと作りたい」とは、一体どんなことなのか? 宮崎吐夢が迫る。

(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)





吐夢 『業音』はダンスの比重が大きいお芝居ですよね?
松尾 業音の踊りは、いわゆるミュージカル的な踊りではなくて、歌舞伎に近いかな。歌舞伎って、見得切ったりして、役者が急に変な動きをするじゃない。だから、「歌舞伎を現代の人間がやったら……?」みたいな感覚。僕は昔から変な動きというか、独特の踊りを舞台でやっていたけど、歌舞伎を観るようになってから、自分の動きに対する欲望に得心が行ったの。自分は日本人だし、「日本の演劇」をちゃんと作りたい。
吐夢 「日本の演劇」。
松尾 そう。日本人が脈々とやってきた、ただ芝居を見せるだけではない表現をしたいというか。演劇ってどこまでいっても西洋からの輸入品だけど、そのまま写実主義で作ってもつまらないじゃない。役者には基本的にリアルな演技はしてほしいんだけど、せっかく舞台というものがあって、そこに立つ生身の人間がいて、音楽と照明があるんだから、「かぶかない」なんてもったいないじゃんって思ってます。
吐夢 そういう理由あっての、パリ公演なんですね。
松尾 うん。写実の演劇を向こうに持ってっても、あんまり意味ないなあと思ってる。特にこの『業音』は日本的だし、僕の芝居の中でもすごく情念的だしね。


(※この対談の完全版は劇場で販売する『業音』公演パンフレットに収録します。)